youuu_and_iii_aaa7 youuu_and_iii_aaa7

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U.  #aaaストーリー#aaastory#Uの妄想 ※フィクション※ 実在の人物とは無関係です。 . . フォローもリムもお気軽にどうぞ(^^) 書きたいものだけを書いてます。

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HERO 2nd seasonー10
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目が覚めると、目の前には寝息を立てる愛おしい人の寝顔があった。
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いつもはオールバックに固めている長めの前髪が、今はさらりとおでこに流れている。
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布団から出る肩が寒そうで、私も隆弘さんも何も着ないまま寝てしまったから、はだけた布団を肩まで掛けてあげた。
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風邪引かないといいけれど。
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一緒に朝を迎える日はいつも先に起きていて、私の寝顔を眺めている隆弘さん。
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でも今日はその瞳が閉じて、久しぶりに見る寝顔に出張の疲れが残ってるのかなとぼんやり思った。
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出張に行くだけでも疲れるのに、それを1日繰り上げて帰ってきた彼。
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私のことが心配で帰ってきたって言ってたけど、そんなに心配することないのに。
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私は私で、花嫁修行を頑張ってる。
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早くあなたに相応しい妻になりたいって思ってるのに。
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守られるだけじゃなくて、あなたを守ってあげられる存在になりたいの。
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隆弘)おはよう、千晃。
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ぼんやりしているといつのまにか隆弘さんの瞳は開いていて、視線が合うと優しく微笑む彼がいた。
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隆弘)ぼんやりしてどうしたの?まだ眠い?
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千晃)いえ。もう少しで旦那様になる人の寝顔を見てました。
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隆弘)はは。老けたなって思った?
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千晃)年々かっこよくなっていくなぁって思ってました。
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壮年の彼は甘い笑みをさらに甘くし、渋さを増しても顔にシワが増えることはない。
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この世にこの人ほど完璧な人がいるのだろうか。
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女の私ですら見惚れるほどの美貌で、いつも私を掻き乱す。
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隆弘)そんなに俺を喜ばしてどうしたの?千晃がかわいすぎて外に出したくないんだけど。
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千晃)それは困ります。今日こそお母さんから着付けを教わらないと。
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隆弘)そういえばそうだったね。
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千晃)あとはお花も教わる予定なんです。
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隆弘)......ねぇ、千晃。本当に無理してない?
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柔らかだった笑顔は少しだけ眉をひそめて、長い指が私の頬を撫でる。
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そのまま肩を、鎖骨を撫でて、おでこにキスを贈りながら隆弘さんは私をギュッと抱きしめた。
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隆弘)ちょっと痩せたよね?
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千晃)そうですか?
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隆弘)痩せたよ。抱きしめた時の感覚が違う。
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千晃)体重計に乗ってないので自分では分からないです。
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隆弘)痩せるほど無理してるなら......このまま東京に連れて帰ろうと思ってる。
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千晃)え?
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隆弘)前にも話したけど、花嫁修業はそれほど重要じゃないんだ。できなくても問題ないことばかりだから。集会だって今さら出なくたって何の問題もない。
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千晃).........
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隆弘)だから無理してるなら、このまま東京に帰ろう?千晃。
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それはいつも私を心配する瞳で、隆弘さんがどれほど私のことを思っていたのか分かるほどだった。
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たしかに食事は抜いていたかもしれない。
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食事よりも覚えなければいけないことに集中したかったから。
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でもそれは全て、隆弘さんのため。
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そして自分のため。
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そうして身になったものが自信になると信じたいから。
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隆弘)千晃はすぐ無理するから心配なんだよ。分かってる?
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千晃)無理してないですよ。
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隆弘)本当に?
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千晃)本当です。むしろ毎日楽しいです。知らないことを習うのは、ここにいなければできませんから。
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お父さんもお母さんもみんな優しいし、辛いことなんて一つもないの。
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「大丈夫」と笑って見せると、隆弘さんは渋々だけれど東京に連れて帰ることは諦めてくれた。
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隆弘)しょうがないな。じゃあ集会もすぐだし、午前中は必要なものを揃えに行こうか。
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千晃)必要なもの?
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隆弘)あ、でもその前に。
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千晃)きゃっ...
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隆弘)かわいい千晃を愛させて?
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覆いかぶさってくる隆弘さんの熱い吐息に、冷めていた疼きが全身を駆け巡った。
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そうしてたっぷりと愛され、結局外に出られたのはそれから2時間後、お昼間近だった。
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想

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HERO 2nd seasonー09
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隆弘)千晃!
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千晃)へ?隆弘さん?
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突然現れたその人は、私を見つけると駆け寄ってきてギューッと抱きしめてきた。
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たしかスケジュールではまだ台湾にいるはず。
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日本に戻るのは明日だと思っていたんだけど...
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千晃)え?どうしたんですか?帰国は明日のはずじゃあ...
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隆弘)千晃の事が心配で繰り上げてきた。
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千晃)えー...
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そうじゃないかと思ってたけど、まさか本当に1日早く帰ってくるなんて。
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そこまで隆弘さんを心配させてたと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
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頼りない自分が本当に嫌。
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千晃)商談、でしたよね?大丈夫でした?
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隆弘)そこは抜かりなく。バッチリ決めてきたから。
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宇野)何がバッチリよ。相手の社長を脅して急かしてたじゃない。
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千晃)あれ?実彩子さん?
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抱きしめられていたから見えなかったけど、隆弘さんの他にも誰かいるみたい。
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しかもこの声は間違いなく実彩子さんの声。
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隆弘さんの腕から顔を出して傾けると、実彩子さんが「ただいま千晃ちゃん」と言って私に手を振った。
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千晃)おかえりなさい!実彩子さんも来てたんですね。
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宇野)西島財閥の集会に社長が出るなら私も一応出ないとね。
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千晃)あ、そっか。
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宇野)花嫁修行ははかどってる?
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千晃)とりあえず頭に詰め込めるものは詰め込んでるって感じです。
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まだ覚えなきゃいけない事はたくさんあって、まだまだ完璧には程遠いけど。
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心配をかけたくなくて苦笑いを返すけど、実彩子さんは「無理しないのよ」って頭を撫でてくれた。
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隆弘)じゃあ行こっか。
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千晃)え?
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それまでずっと私を抱きしめていた隆弘さんに、今度は手を引かれて部屋を出る。
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今日はこの後、着物の着付けをお母さんから教わる予定なのに一体どこへ?
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千晃)た、隆弘さんどこ行くんですかっ?
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隆弘)とりあえずホテル。
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千晃)ホテル!?
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わけが分からず玄関へ向かう隆弘さんを止めようともがいていると
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母)ちょっと隆弘。千晃ちゃんをどこへ連れて行くの?
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ちょうどリビングから出てきたお母さんが通せんぼした。
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その後ろにはお父さんもいる。
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母)千晃ちゃんはこれから私と着付けの練習なのよ。
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隆弘)そんなの後でもいいだろ。とにかく今は千晃と二人きりでいられる所に行きたいんだからそこどいて。
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母)だめよ。私が千晃ちゃんに頼まれたんだから。
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千晃)そうですよ、隆弘さんっ。私、着付け覚えたいんですっ。
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父)千晃ちゃんもそう言ってるし落ち着けよ。それに千晃ちゃんの和装、お前も見たいだろ?
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厳しい顔のお母さんとのほほんと言ってくるお父さんに、それでもお構いなしに隆弘さんは私の手を強く握った。
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隆弘)見たいけど!千晃の着物すっごく見たいけど!!今は無理!!!
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千晃)隆弘さん!?
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なんか目が血走ってるし口調も荒いし、どうしたの?
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台湾出身で疲れが溜まってるとか?
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だったら一人でホテルで休んだ方がいいんじゃないかな?
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母)どうせここには泊まらずに、夜には千晃ちゃんを連れて行くのでしょう?
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隆弘)当たり前だろ。ここに泊まったんじゃ、千晃とイチャイチャできない。
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父)じゃあ夜までいいじゃないか。俺たちだって千晃ちゃんと一緒にいたいんだぞ。
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隆弘)父さんと母さんは今までずっと一緒だったからいいだろ。俺はもう限界なんだ。
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母)私たちだって千晃ちゃんが東京に帰ったらあまり会えなくなるのよ?せっかく仲良くなったのに...
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隆弘)それでも。俺は今、千晃が欲しい。
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千晃)た、隆弘さん...
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みんなの前でそんなことを言われて、一気に顔が熱くなった。
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きっと真っ赤な顔をしてる私を、実彩子さんは苦笑いで見てくる。
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笑ってないで助けて欲しいのに...
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隆弘)だからごめん。俺が限界だから、千晃連れてくね。
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やれやれといった3人を置いて、隆弘さんに手を引かれて西島家を出た。
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タクシーで行き着いた先は、札幌の中心にそびえる高級ホテル。
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そのスイートルームで上着を脱いだ私に
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隆弘)ただいま、千晃。やっと千晃の元に帰ってこれた。
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と、甘く囁きながら蕩けるような笑みを向けてくる愛おしい人。
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ついばむキスの間に
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千晃)おかえりなさい、隆弘さん。
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と返せば、「まだ明るいけどいい?」と聞きながらもすでに抱き上げられてベッドに降ろされる。
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甘やかな愛撫を受け入れながら、離れていた時間を埋めるように抱きしめあった。
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想

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roseー03
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西島)千晃っ!
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千晃)来ないでってば!
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思わず会社を出てきたけど走り出した足は止められなくて。
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與くんと約束してるのに西島くんが追いかけてくるから、行くあてもなく街を走る。
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西島)千晃待って!
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千晃)やっ、
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追いつかれた西島くんに腕を掴まれたけど、彼の視線から逃げるように顔を背けた。
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どうして追いかけてくるんだろう。
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会社で話したことなら断ったはずなのに。
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千晃)離してよ。私、西島くんとはご飯行かない。
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西島)でも與とは行くんだろ?
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千晃)行くよ。誘ってくれたから。
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西島)俺が先に誘ってたら俺と行ってくれた?
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千晃)......行かないよ。
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西島)なんでだよ!
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行くわけないじゃん。
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誕生日に薔薇の花一本もくれないあなたとなんか。
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西島)まさか、與のこと好きなの?
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千晃)......どうだろ。
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西島)あいつに好きだって言われた?
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千晃)......そんなの聞いてどうするの?西島くんには関係ないじゃん。
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西島)関係ある。
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千晃)ないよ!私のことなんかなんとも思ってないくせに!
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自分で言ってて悲しくなる。
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なんで好きな人と誕生日にこんな言い合いしなきゃいけないの。
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早くここから立ち去りたいのに西島くんは腕を離してくれないし、ここで泣いたって彼は涙をぬぐってなんかくれない。
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だから泣きたくなんてないのに...
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こんな時に限って涙が溢れるのはどうして。
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西島)なんで泣いてんだよ。
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千晃)ほっといてよ...誕生日にぼっちなんて寂しいやつだって笑えばいいじゃん。
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西島)笑わないしほっとけない。
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千晃)......どうして?ただの同期なんだからかまわないで。
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西島)ただの同期なんて思ってないから、ほっとかない。
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千晃)...え?
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西島)千晃が好きだから。與のところに行くなんて許さない。
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掴まれた腕を引かれて、気づけば西島くんはすぐ目の前。
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ぬぐってくれるはずがないと思っていた涙は、彼の熱い指先に消えた。
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その後與くんに電話をして食事を断ると、
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與)あー、西島から誘われたん?なら、しゃーないな。
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って苦笑まじりに言われて、「今度西島に奢ってもらうから気にせんでええ」って私に気を使わせないようにそう言ってくれた。
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結局西島くんが私のために予約してくれたお店には行けず、腕を引かれたまま連れてこられたのは西島くんのアパート。
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シンプルなソファーに座らされて、その隣には少し気まずげな西島くんが座った。
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西島)ごめん。いきなり俺んち連れてきて...
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千晃)いいけど...私、まだ半信半疑というか...
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西島)なにが?
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千晃)西島くんが、私のこと、その...
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西島)好きだよ。そこは信じて。
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千晃)で、でもなんか急すぎてビックリというか...
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西島)今まで結構攻めてたつもりなんだけどな。やっぱり気づかなかったか。
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千晃)気づかないよ。今日だって誕生日なのに花束くれなかったじゃん。
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西島)花束が欲しかった?
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千晃)そういうわけじゃないけど、他の子には薔薇の花束あげてるじゃない。
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西島)あげてるけどあんなすぐ枯れる生花より、千晃にはこれをあげたくて。
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そう言って鞄から取り出したのはベルベットの小さなケース。
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手に乗せられてフタを開けると、そこには赤い薔薇をモチーフにしたピアスが2つ入っている。
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それをケースから一つづつ取り出した西島くんは、私の左右の耳に開いたピアスホールに丁寧に着けてくれた。
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西島)他の子に赤い薔薇をあげたことなんて一度もない。赤い薔薇は大切にしたい子にだけって決めてたから。
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千晃)...そういえばいつもピンクとか黄色とかだったよね。
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西島)うん。赤い薔薇は好きな人に捧げる花。それにこのピアスの薔薇は、ほんとは赤じゃないんだ。
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千晃)?
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西島)これは紅色。花言葉は「死ぬほど恋い焦がれています」。そんで...
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左右の耳についた薔薇のピアス。
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それを嬉しそうに眺めた西島くんは、いつのまに用意していたのか背中から1本の赤い薔薇を差し出してきた。
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それを受け取ると、ふわりと香る薔薇の匂いとともに耳に囁かれた言葉。
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西島)薔薇には本数にも意味があって....3本の薔薇の花言葉は告白「あなたを愛しています」。
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情熱的な愛を囁くあなたを好きでよかったと、この日ほど思ったことはない。
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西島)千晃、ずっと好きだった。
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千晃)私も...ずっとずっと好きでした。
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薔薇の香りとともに私の唇に落とされたキスから
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私たちのこれからが始まる。
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fin.
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想

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roseー02
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與)伊藤!
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千晃)與くん?
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夕方、少し気分転換をしたくて自販機の前で飲み物を選んでいると、與くんに呼ばれた。
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千晃)さっきはひざ掛けありがとう。さっそく使ってるよ。
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與)ほんま?なんか何あげたらいいか分からんくて...
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千晃)あったかいし柄がかわいいから気に入っちゃった。
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與)なら良かったわ。あ、でな、今日残業?
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千晃)私は定時で帰る予定だよ。
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與)なら一緒にご飯食べに行かん?予定ないなら、やけど。
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千晃)ないよ。誕生日なのにぼっちなの。
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與)じゃあ決まり、な。
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千晃)うん。楽しみ!
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與くんと仕事終わりに会う約束をして自分の部署に戻った。
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宇野ちゃんが後から誕生日会をしてくれるって言ってたし、誰かさんから欲しかった花束は貰えそうにない。
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誕生日を一人で過ごすより、與くんとご飯を食べに行った方が楽しいに決まってる。
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なんか自分で言ってて悲しくなってきちゃった。
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あーあ。早く仕事終わらないかな。
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千晃)お先します。お疲れ様でした。
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今日の業務が終わって自分のデスクを片付けてから部署を出る。
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與くんに連絡をするともう少しかかると連絡が入った。
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ロビーで待っていようと椅子に座ると
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西島)千晃。
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外回りから戻ってきた西島くんと鉢合った。
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会いたくなかったけど、会ってしまったなら挨拶くらいはしないと。
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千晃)お疲れさま。
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西島)もう終わり?
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千晃)うん。
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西島)この後予定ある?
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千晃).........
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ない、と答えたらなんて返事が来るんだろう。
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誕生日なのにぼっちなんて寂しいやつだなって茶化されるのかな。
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どっちにしろ薔薇の花束をくれないほど私に興味がないのは分かってるけど。
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千晃)與くんとご飯行く約束してるの。
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予定はあるから茶化さないでほしい。
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これで会話はおしまい。
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だから早く自分の部署に戻ってよ。
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そう思って西島くんの顔を見ると
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西島)は?與と?なんで?
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眉間にシワを寄せた不機嫌な西島くんがいた。
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千晃)なんでって、誘われたから...
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西島)與と付き合ってんの?
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千晃)付き合ってないよ。ご飯に誘われただけ。
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西島)じゃあ断れよ。
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千晃)え、どうして?
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すっごい不機嫌な顔で、與くんの誘いを断れと言う。
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まるで私が怒られてるみたい。
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なんでそんな顔されなきゃいけないんだろう。
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西島)断れ。で、俺と飯行くぞ。
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千晃)だからどうして?
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西島)お前の誕生日を俺がお祝いしてやるっつってんの。どうせ一人だと思って店も予約したし。
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誕生日に一人じゃ寂しいから?
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だから私に情けをかけてくれたの?
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そんなの、頼んでないのに?
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千晃)......誕生日にぼっちなんてかわいそうとか思ってる?
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西島)だから俺が一緒に祝ってやるんだからありがたいだろ。
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なにそれ。
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ありがたくなんて全然ないけど。
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千晃)せっかくお店予約してくれたとこ悪いけど私、與くんとご飯行くから。
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西島)はぁ?
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千晃)だから西島くんは他の子誘ったら?
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西島)いやあのさ、
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千晃)かわいそうな私に無理して付き合うことないよ。
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西島)だからお前のために、
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千晃)頼んでないってば!
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思ったよりも出してしまった大きな声がロビーに響き渡る。
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周りにいた社員の目が私たちに向くより先に、私は会社から飛び出した。
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西島)おい千晃!
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呼び止めないでよ。
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私はただ、あなたから薔薇の花束が欲しかっただけ。
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想

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roseー01
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私の親友の誕生日に薔薇の花束を贈る彼のことが
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私は出会った頃から好きだった。
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千晃)やっぱり薔薇の花束にするの?
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西島)もちろん。
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同じ会社で同期の西島くんと、仕事終わりに寄ったお花屋さん。
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そこで西島くんは薔薇の花束を買った。
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千晃)やっぱり綺麗な子には薔薇の花が似合うよね。
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今日このあと開かれる同期の飲み会で急遽、私の親友宇野ちゃんの誕生日会もすることになったからみんなプレゼント選びに必死だった。
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もちろん私は前の日から用意してあって、宇野ちゃんお気に入りのバスソルトを可愛くラッピングして持ってきてある。
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そして西島くんは今、ピンク色の薔薇の花束を店員さんから受け取っていた。
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西島)まぁ、花束といったら薔薇だよな。そして女は薔薇の花束をあげると大抵は喜ぶ。
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千晃)...最低。
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社内でも人気の高い西島くんは女性の扱いをよく分かっていて、だからこそ西島くんの周りにはいつも可愛い女の子が集まる。
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誕生日に薔薇の花束をあげるなんてキザだと思うけど、西島くんならそれをサラッとやってしまう。
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そんな彼の隣に私がこうやっていられるのは、私が同期だから。
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それだけの理由。
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西島)さ、そろそろ行くか。主役が待ってる。
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千晃)うん...
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薔薇の花束を片手に持つ彼の後ろ姿を追う。
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その花束の行き先は私の親友。
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せっかくの誕生日会なのに、なんだか気分が沈む。
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千晃)宇野ちゃん、誕生日おめでとう。
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宇野)ありがとー千晃。あ、バスソルト!やっぱり千晃は私の事分かってるー!
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予約していた居酒屋での飲み会が落ち着いてきた頃、末吉くんの一言でそこは宇野ちゃんの誕生日会に変わった。
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末吉くんはケーキを用意して、日高くんはこのお店で一番高いお酒を入れてくれて、與くんは綺麗にラッピングされたプレゼントを宇野ちゃんに渡した。
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私もおめでとうと言いながら用意してたプレゼントを渡した。
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そのどれにも喜んでくれて、西島くんの薔薇の花束を受け取る時も宇野ちゃんはとても喜んでいた。
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西島)今日の主役に。どうぞ。
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宇野)わぁ綺麗!いい香りー。
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西島)うんうん。やっぱり女を口説く時は薔薇の花束だよな。
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宇野)口説かれる気はないけど花に罪はないから貰っとくわ。
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西島)可愛くねーな。そんなんだから彼氏できねーんだぞ。
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宇野)あんただっていないじゃない。
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西島)俺は間に合ってるから。
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宇野)あの子鈍感だから、早くしないと誰かに奪われちゃうわよ。
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西島)奪わせねーよ。
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そんな会話が聞こえてきて、ああ、西島くんには狙ってる子がいるんだって酔いが回った頭でぼんやり思った。
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そりゃそうか。
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西島くんにだって好きな子、いるんだよね。
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誰だろう、きっとすごくかわいい子なんだろうな。
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だから私は、ずっと片想いから一歩を踏み出せない。
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西島くんの彼女にはなれなくてもいいからせめて、
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私の誕生日にも薔薇の花束をくれたらいいな、なんて。
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小さな期待を押し込めた。
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宇野)千晃!誕生日おめでとうー!
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年明け仕事始めから数日、誕生日の朝に会社で会った宇野ちゃんがおめでとうと言ってくれた。
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手渡されたプレゼントは前に雑誌を見て気になっていた香水。
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買おうか迷っていたものをプレゼントに貰えて、宇野ちゃんの気遣いに幸せな気持ちになった。
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千晃)ありがとう宇野ちゃん!
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宇野)仕事が忙しくなかったら誕生日会もできたんだけど、今日はみんな無理そうなんだよね。
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千晃)この時期は仕方ないよ。繁忙期も重なるし。
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宇野)後で千晃の誕生日会絶対にやるから!楽しみにしててね!
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千晃)うん。
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誕生日会は後日になったけど、その後社内で会った同期の末吉くんからはマフラーを、日高くんからは万年筆を、與くんからはひざ掛けをおめでとうの言葉と一緒に受け取った。
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みんなお祝いしてくれて、その日一日はとても嬉しい気持ちでいっぱいだったのに
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西島)誕生日おめでとう、千晃。
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西島くんはおめでとうだけを言って、プレゼントの一つも寄越さなかった。
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他の子にも、宇野ちゃんにもあげた薔薇の花束。
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貰えると思っていたのに、私には少しの期待も許されなかった。
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せめて薔薇の花一輪でもくれたらいいのに。
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西島くんにとって私はそんな価値もない、ただの同期なんだとしたら
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この片想いの意味なんて最初からなかった。
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私にとって西島くんは遠くから見ているだけで手が届かない、高嶺の花。
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想
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全3話。

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もしも彼女が酔っ払って帰ってきたら...?
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千晃)隆弘ぉ〜ただいまぁ〜。
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隆弘)おかえりー。って何脱いでんの!?
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千晃)だって暑いんだもん〜。
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隆弘)待って待って待って!まずドア閉めて!
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千晃)あ。開いてた〜。へへへ。
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隆弘)へへへじゃないよ!誰かに見られたらどーすんの!?
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千晃)誰も見てないよ〜。
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隆弘)見てるよ!千晃かわいいんだからみんな見るよ!
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千晃)大丈夫大丈夫〜。
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隆弘)...まさか千晃、お店でも脱いだりしてないよね?
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千晃)え。
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隆弘)え!?
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千晃)脱いでないよ〜。
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隆弘)ほんと!?
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千晃)多分〜。
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隆弘)ちょっと!多分って何!?ほんと何やってんの?もう外で飲むの禁止!!
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★酔うと脱ぐ彼女
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千晃)真ちゃん真ちゃ〜ん。
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真司)千晃帰ってきたん?ずいぶん出来上がってるやん。
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千晃)ただいまぁ〜真ちゃんこっち来て〜。
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真司)ん?なに?
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千晃)チュッ。
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真司)わっ、おまっ、いきなり何すんねん!
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千晃)何って、ただいまのチューだよ。もっとしていい?
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真司)あかん!とりあえず靴脱いで中入って、
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千晃)今したいの〜。チュッ。
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真司)だからっ、靴脱いでって、
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千晃)チュッ。
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真司)ちょ、靴、
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千晃)チュッ。
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真司)こら千晃っ、
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千晃)チューッ。
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真司)あーもう!靴はいたまま抱かれたくなかったら早よ靴脱いで!!
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★酔うとキス魔になる彼女
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千晃)ふぇ〜んっ光啓〜。
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光啓)おかえり千晃。どうしたの?
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千晃)分かんない、けどなんか悲しいの〜。
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光啓)あー。お酒いっぱい飲んだの?千晃、泣き上戸なんだからあんまりお酒飲んじゃダメって言ってるのに。
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千晃)だぁって〜ふぇ〜んっ。
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光啓)ほらおいで。リビングで抱っこしてあげるから。
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千晃)うわぁ〜んっ光啓が優しい〜っ。
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光啓)千晃にだけだけどね。
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千晃)いつもごめんね〜ひっく、いっつも光啓に甘えちゃってぇ〜ひっく。
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光啓)俺が甘やかしたいの。だから今度からは酔っ払うの、俺の前でだけにしてね。
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★酔うと泣く彼女
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千晃)秀太ぁ〜ただいまぁ〜。
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秀太)おかえり。遅かったな。
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千晃)二次会が長引いちゃったからお酒いっぱい飲んできたの〜。
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秀太)みたいだな。すっげー酒くせぇ。
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千晃)男の人もいっぱいいたの〜いっぱいおしゃべりしてきたの〜。
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秀太)よかったね。楽しかった?
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千晃)それが全然楽しくなかったの〜。
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秀太)なんで?
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千晃)秀太がいないからだよ〜男の人いっぱいいるって言ったのにどうして来てくれなかったの〜?私の事心配じゃないの〜?
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秀太)心配は特にしてないな。
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千晃)なんで〜?心配してよ〜私ばっかり秀太のこと好きじゃん〜。
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秀太)お前いつも酔っ払うとこうやって全部話してくれるじゃん。だから心配する必要ねぇよ。
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千晃)でも心配してほしいもん〜好きって言ってほしいもん〜。
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秀太)好きだよ。言っても酔っ払って記憶なくして明日には全部忘れてるのは千晃なんだけどな。
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★酔うと本音が出る彼女
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千晃)直くん直くん直く〜ん。
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直也)はいはーい。お。珍しい酔っ払ってる。
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千晃)直くん抱っこ〜。もう歩けない〜。直くんが3人くらいいる〜。
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直也)多いな。よいしょっと。じゃあリビング行くよー。
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千晃)直くん喉乾いた。頭痛い。ちょっと気持ち悪い。
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直也)我慢して。水持ってきてあげるから。
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千晃)直くんここにいて。行っちゃやだ。離れないで。
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直也)でも喉乾いたんでしょ?水飲まないともっと頭痛くなるぞ。
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千晃)直くんごめんね。酔っぱらっちゃってごめんね。わがまま言ってごめんね。
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直也)酔うといつもじゃん。笑
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千晃)でも直くんじゃないとだめなの。好きなの。大好きなの。
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直也)知ってる。千晃は知ってた?俺が酔っぱらいの彼女を甘やかすのが好きだってこと。
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★酔うと甘える彼女
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想
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千晃ちゃんなら酔っぱらったって何したってかわいいってことで。

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HERO 2nd seasonー08
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コンコンコン
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千晃)はい。どうぞ。
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西島家の与えられた一室で、日課のように勉強をしていた午後3時。
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ノックの音に返事をすると
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母)千晃ちゃん、お茶にしましょう?
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父)俺も混ぜてもらっていいかな?
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お父さんとお母さんがティーセットを持って部屋に入ってきた。
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もうそんな時間か、と過ぎ行く時間の早さに焦りが出てくる。
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決起集会まであと数日。
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隆弘さんも明後日には札幌に戻ってくるし、私には限られた時間しかない。
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母)花嫁修行に誘ったのは私だけど無理しないでね。
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父)ゆっくりでいいんだよ。はい、お茶。
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千晃)ありがとうございます。お父さん、今日お仕事は?
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父)抜けてきたんだ。会長職っていうのは名ばかりで、暇なんだよ。
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母)そんなこと言ってこの人、千晃ちゃんとお茶したいだけなのよ。
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父)会社の事は直也がやってくれるから心配ないんだ。
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母)自分が楽をしたいから早々に社長の座を直也に譲ったくせに。
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父)ははは。母さんは俺に厳しいな。
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二人の会話を聞いていると本当に仲のいい夫婦だなと思う。
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こんな風に私たちもなれたらなって。
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父)そうそう。今日は千晃ちゃんとこれを見たくてね。
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千晃)?
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母)アルバムよ。隆弘の子どもの頃の。
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千晃)え!見てもいいんですか?
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母)もちろんよ。晃輝くんと千鶴ちゃんも写ってるの。
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千晃)お父さんとお母さんも...?
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渡されたアルバムは数冊あって、隆弘さんが赤ちゃんの頃からスクラップされていた。
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小さい頃の隆弘さんはとても可愛くて女の子みたいで、でも今の面影もちゃんとある。
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千晃)隆弘さん可愛いですね。
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父)周りからいつも女の子と間違われてたからね。本人はすごく嫌がってたけど。
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千晃)ふふ。なんか分かる気がします。
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ページをめくると少しずつ隆弘さんは大きくなっていって、小学生になると隆弘さんと同じくらいのやんちゃな男の子と私そっくりの女の子が一緒に写ってる写真が多くなった。
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千晃)これ...
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母) 晃輝くんと千鶴ちゃんよ。
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手元のアルバムには3人の思い出がたくさん詰まっていた。
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隆弘さんと、私のお父さんとお母さん。
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3人で水浴びしたり泥んこになったりお弁当を食べたり、とにかく楽しそうな写真がたくさん。
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父)隆弘は小さい頃、あまりおしゃべりな方ではなかったから親子の会話もあまりなくてね。俺も当時仕事で忙しくしていたから、それが当たり前になっていたんだ。
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母)感情を出す事が苦手だったみたいなの。私たちはそれに気づかなくて、静かで大人しい子だとばかり思ってた。でも小学生になって晃輝くんと千鶴ちゃんと出会って、隆弘はとても変わったわ。
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父)声を出して笑ったり表情で分かるくらいに怒ったり、隆弘が感情を出すようになったんだよ。隆弘の明るい笑顔を見たときは本当に嬉しかったな。
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母) 晃輝くんと千鶴ちゃんが隆弘と一緒に過ごしてくれたおかげで隆弘の本来の姿を知れたの。二人には本当に感謝してる。
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自分の両親の事をそんな風に言われるのはなんだかくすぐったくて、でもとても嬉しかった。
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私の自慢の両親が、私の大切な人を救っていたなんて。
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母)辛い記憶も思い出させてしまったかしら?
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千晃)いえ、聞けて嬉しいです。隆弘さんとはあまりそういう話はしないので。
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父)3人の昔話ならたくさんあるぞ。晃輝くんが結構やんちゃでね、隆弘を引っ張りまして毎日泥んこになって帰ってくるんだ。隆弘もだんだん悪知恵が働いてきて、俺たちを困らせる事ばかりして。
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母)千鶴ちゃんはそんな二人にいつも巻き込まれてたわね。
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父)懐かしいな。二人には感謝してもしきれないのに...もう会えないなんてな。
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母).........
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二人の表情に影が落ちる。
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そんな幸せそうな思い出を悲しい記憶にしないでほしい。
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千晃)隆弘さんを救ったのは私の両親ですけど、私を救ってくれたのは隆弘さんです。だから私は隆弘さんにすごく感謝してるんです。
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そしてそんな隆弘さんに愛情を注いでくれた目の前の二人にも。
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千晃)私が両親と呼べる二人はもうこの世にはいません。でも"お父さん""お母さん"と呼べる人が今目の前にいます。私今、とても幸せです。だから私、西島家の恥にならないように頑張りますね。
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過去は過去。
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前だけ向くって決めたから。
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優しく微笑むお父さんと潤んだ瞳で見守ってくれるお母さんが、これから私が大切にしていく人たちなの。
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想
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本来義理の親は「義父さん義母さん」と表記するのが正しいのですが、あえて「お父さんお母さん」と表記するのは千晃ちゃんが義理と思っていない所以なのです。

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HERO 2nd seasonー07
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隆弘)千晃ぃー。俺死んじゃうよー。
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宇野)じゃあいっぺん死んでみたら?
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台湾のホテルの一室で枕を抱きしめながらベッドに寝転がっている俺に、秘書の実彩子が氷のように冷たい言葉を投げつけた。
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台湾の企業相手に商談に来た俺たちは、徐々にまとまってきた商談内容に少し余裕が出てきたところ。
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こちらの時計を見ると22時、って事は今日本は23時。
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明日のスケジュールを確認したら、今日はこのまま解散だ。
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隆弘)お前ほんっと冷たいよね。千晃不足で死にそうなんだからちょっとは思いやりをもってだな、
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宇野)はいはい。どうせ私が部屋に戻ったら千晃ちゃんに電話するんでしょ?
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隆弘)する。だから早くスケジュール。
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宇野)なんか腹立つわね。
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台湾に来て2日目。
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明日のスケジュール次第だけど、明日で商談がまとまったらすぐにでも日本へ帰るつもりでいる。
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本当は4日間の出張の予定だったけど、札幌に残してきた千晃の事が気になって仕事なんかしていられない。
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きっと寂しい思いをしてると思うし、母さんのスパルタも兄さんのセクハラも心配だ。
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宇野)明日、商談まとまればいいわね。
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隆弘)まとめてみせるよ。
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宇野)そう。じゃあ、明日のためにも早く寝なさいよね。
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隆弘)分かってる。
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宇野)千晃ちゃんだって慣れないところにいて疲れてるんだからね。長電話は禁止よ。
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隆弘)......分かってるよ。
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宇野)よろしい。じゃあおやすみ。
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まるで小姑みたいだな。
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うるさい実彩子が部屋から出ていくのを見送って、さっそく千晃に電話をかけた。
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プルルルル...
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千晃))はぁい。
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隆弘)あ、千晃。寝てた?
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千晃))起きてましたよ。お仕事お疲れ様です。
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隆弘)千晃もお疲れ様。今日も勉強してたの?
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千晃))はい。分家名簿を覚えてました。
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隆弘)あー。無駄に人が多くて覚えるの大変だよね。
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千晃))でもだいぶ覚えてきましたよ。
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隆弘)千晃は凄いね。無理してない?
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千晃))してないです。皆さんとても優しくしてくれます。
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隆弘)母さんは無理言ってない?
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千晃))いいえ。むしろ気遣ってもらってます。
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隆弘)兄さんにセクハラされてない?
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千晃))香織さんがいるので大丈夫です。
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隆弘)香織さんとも仲良くなったんだ。
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千晃))はい。とても綺麗な方でビックリしました。直也さんと並ぶととても素敵なご夫婦ですよね。
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隆弘)スタイルだけはいいからね、あの二人。
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千晃))今日はお母さんと香織さんと一緒に3時のお茶をしたんです。お母さんが焼き菓子を買ってきてくださって。
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隆弘)へぇ。美味しかった?
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千晃))はい。あ、いえ...
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隆弘)どうしたの?
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千晃))あ...そういえば私、せっかくお母さんが買ってきてくれた焼き菓子食べてないなって思って。
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隆弘)え?食べなかったの?
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千晃))はい。
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隆弘)千晃、焼き菓子好きなのに。お腹いっぱいだった?
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千晃))そうだったかもしれないです。
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隆弘)そうだったかも、って...
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千晃))それよりも早く分家名簿を覚えたかったので、途中で部屋に戻ったんです。おかけでたくさん覚えられました。
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隆弘).........
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千晃))私にはまだまだ覚えなきゃいけない事がたくさんあるので。頑張りますね。
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隆弘)千晃...
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千晃))はい?
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隆弘)本当に無理してない?
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千晃))してないですよ。
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隆弘)本当に?辛いんだったらやめていいんだよ?
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千晃)何言ってるんですか隆弘さん。これは私がやらなきゃいけない事なんです。たとえ辛くても頑張らないと。
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いくら花嫁修行をやめろって言っても千晃は決してやめるなんて言わない。
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真面目でなんでも頑張る子だって知ってるから何を言っても聞かないのは俺が一番よく知ってる。
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でも本当に。
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本当に千晃が心配なんだ。
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何か不安を抱えていても絶対それを口に出すことをしない千晃だから。
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ブブッ...
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千晃との通話を終えたスマホにLINEの通知が来る。
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見ると珍しく母さんからで、その内容を見てさらに不安が募る。
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母 "千晃ちゃんが夕食の時間になっても部屋から出てきません。食事よりも勉強をすると言っているのだけれど、頑張りすぎていて少し心配です"
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母さんも心配になるほど頑張りすぎているんじゃないだろうか。
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それなのに俺が傍にいてやれないなんて。
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ますます明日の商談は失敗できなくなった。
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とりあえず今できるのは、
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すぐに終わらせて帰るからどうか無理だけはしないでと、千晃にLINEを送ることだけ。
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この遠すぎる距離がもどかしい。
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想

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HERO 2nd seasonー06
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西島家に来たその日から怒涛の日々が始まった。
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基本的な財閥企業の歴史や業績、経営形態、そして基本的なテーブルマナーと教養をとにかく頭に叩き込む。
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その中でも分家含む親戚一同の顔と名前を覚えるのがとにかく大変で。
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一週間後に行われる西島財閥決起集会で結婚の挨拶をする事になっているから、それまでには覚えてほしいとお母さんから名簿を手渡された。
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その量といったら、大学のテキストよりも重さを感じてちょっとだけ泣きそうになった。
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でもこれは隆弘さんのお母さんも、直也さんの奥さんもやってきた事なんだから私だって頑張らないと。
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その間隆弘さんは一度東京へ戻って、その後台湾へ出張する。
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一週間後の集会の時にまた札幌に来るから、それまでは離れ離れ。
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たった一週間、ずっと離れてるわけじゃないのに隆弘さんは別れ際まで私を離してくれなくて
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隆弘)本当にやるの?無理しなくていいんだよ。俺はこの家を継がないんだから財閥は関係ないし、花嫁修行なんて無駄になるかもしれないよ。それなのにここに残るの?そうだ。実彩子に頼んで一緒に台湾行こうよ。俺が商談中、台湾観光すればいいじゃん。ね、そうしよ?一緒に帰ろう?じゃないと俺、寂しくて死んじゃうよ...
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と、飛行機の最終便の時間ギリギリまでぐずぐず言い続けた。
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見かねた直也さんが空港まで引っ張ってってくれて、今は無事に台湾へ出張中。
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母)本当に隆弘には困ったわね。
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香織)でもあんなに生き生きしてる隆弘くん初めて見ました。
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そして私は今、お母さんと直也さんの奥さんの香織さんと勉強の合間のティータイムを楽しんでいた。
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香織さんは長身のスレンダーな美人で、背の高い直也さんと並ぶととてもカッコいいお似合いの夫婦だった。
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ただ香織さんの方がちょっと強いみたいで、私の頬にキスをしたと隆弘さんにチクられた直也さんは次の日の朝、左頬を腫らしていた。
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何があったかは聞けなかったけど、多分そういうことだと思う。
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母)隆弘はねぇ、昔は無口な方で私たちともあまりおしゃべりしなかったのよ。
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香織)私とも挨拶くらいであまり会話はしませんね。隆弘くん、千晃ちゃんの前ではいつもあんな感じなの?
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千晃)そうですね。無口ではないです。
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母)普段、隆弘とはどんなお話ししてるの?
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千晃)えっと、今日はどんな一日だったのか聞かれるので一日の様子を話してます。
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母)......え?
香織)......は?
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千晃)隆弘さんがお仕事から帰ってくるといつも聞いてくるんです。私が何をしていたのか気になるみたいで。
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香織)何それ、怖。隆弘くん、過保護すぎじゃないですか?
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母)それほど千晃ちゃんが好きなのは分かるけど......方向が間違ってる気がするわ。
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千晃)?
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私たちの間ではごく普通のことなのに、お母さんと香織さんはなんとも言えない顔をした。
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そんなに変なこと言ったかな?
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少しぬるくなった紅茶をすするとふわっと薔薇の香りがする。
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薔薇のフレーバーティーなんて初めて飲んだ。
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目の前にはたくさんの焼き菓子が並んでいて、見ているだけでお腹がいっぱいになる。
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こんなティータイム、豪華すぎて少しだけ場違いな気がしてきた。
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母)さ、千晃ちゃん。このクッキー美味しいのよ。食べて食べて。
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香織)こっちのフィナンシェも美味しいわよ。
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千晃)あ、ありがとうございます。
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取り皿にそれぞれ焼き菓子を置いてくれる二人。
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優しくて美人の二人に囲まれてお茶をするのはとても楽しい。
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けれどなんだか......不意に言いようのない不安に駆られるのはなんでだろう。
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私もお母さんと香織さんのような素敵な女性になりたい。
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そのために花嫁修行を頑張るって決めた。
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だから隆弘さんと離れることを選んだのに。
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なんだか場違いな私だけが霞んでいく気がして...
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どうしてそう思うのかは分からないけれど...
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ボーっとしてると「大丈夫?疲れちゃった?」と心配そうに声を掛けてくれる二人。
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私はなんでもないですと笑顔を向けた。
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母)ちょっと無理させすぎちゃったかしら?千晃ちゃんのペースでいいのよ?
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千晃)いえ、大丈夫です。
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まだまだ覚えなきゃいけない事はたくさんあって、出来ることをやらないと隆弘さんに恥をかかせてしまうかもしれなくて。
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そのためにはまず目の前のことをやらないと。
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呑気にお茶なんてしてる場合じゃない。
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千晃)すいません。私、まだ名簿を覚えてないので部屋に戻りますね。
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二人に断って席を立った。
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とても心配そうな顔をする二人と、取り皿に置かれた焼き菓子を残して。
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想

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HERO 2nd seasonー05
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ガチャ
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?)父さん母さん、ここにいたの?
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突然リビングのドアが開いた。
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それと同時にスラリとした長身の男の人が入ってきた。 .
優しそうに微笑むその人はどこか隆弘さんのお父さんと似ていて、柔らかな雰囲気は隆弘さんと同じだった。
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?)ってあれー?隆弘じゃん。久しぶり。
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隆弘)久しぶり、兄さん。
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?)突然どうした?なんかやらかしたの?
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隆弘)やらかしてない。結婚することにしたからその報告にね。
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?)え!ついにお前が!?相手誰?
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隆弘さんが兄さんと呼ぶその人は、結婚と聞くとすごく驚いて辺りをキョロキョロ見回した。
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きっと隆弘さんの結婚相手、つまり私を探してるんだろうけど、隆弘さんの背の後ろにいた私には気づかないみたい。
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「あの、」と挨拶をしようと隆弘さんの横から顔を出そうとすると、何故か隆弘さんはまた私を背中で隠した。
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ん?なんで隠されたの?
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千晃)あの...
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?)あ、後ろにいたんだ。っておい隆弘。隠してないで俺にも挨拶させろよ。
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隆弘)嫌だよ。あんた女だったら誰にでもすぐ手出すじゃん。
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?)そうだけどー、さすがに弟の婚約者には出さないよ。
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隆弘)いまいち信用できないから却下。
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?)お前、会わない間に随分失礼になったな。いいからどいたどいた。
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隆弘)あ!ちょっ、
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隆弘さんを押しのけて近づいてきたその人は、私の目線に合わせるように屈むとずいっと顔を近づけてきた。
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ち、近いんですけどっ。
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?)君が隆弘と結婚する子?
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千晃)は、はいっ。伊藤千晃です。よろしくお願いします。
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直也)千晃ちゃん、初めまして。隆弘の兄の直也です。
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そう言ってにこっと笑う顔がすごく人懐っこくて、私も一応笑顔で返してみる。
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すると直也さんはさらに笑みを深くした。
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似てると思った穏やかなお父さんの微笑みとはまた違った黒い笑みに、隆弘さんが警戒するのが分かる気がした。
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直也)君何歳?俺の一番上の息子とあんまり歳変わらないんじゃない?
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千晃)えっと、
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隆弘)22歳だよ。挨拶したんだからもういいだろ。
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直也)22?もっと若いと思った!童顔なんだね。すっごく可愛いよ。
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千晃)ぅえ?えっと...
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隆弘)だから口説くなって!離れろ!
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直也)ってことは隆弘とは19歳差かー。こんな可愛い子、どこで引っ掛けたんだよ。羨ましいな。
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隆弘)引っ掛けてないし、ほんといい加減離れてくれる?
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直也)あーいいなぁ、若い奥さん。千晃ちゃん、隆弘に飽きたらいつでも俺んとこ来ていいからね?
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千晃)ぇえっ!?
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隆弘)兄さんのとこに行くことは一生ないし、そんなこと言ってると奥さんに殺されるよ。
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本気で嫌がる隆弘さんを茶化す直也さんは見ていてとても楽しそう。
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なんだか元気なお兄さんで隆弘さんとは正反対だけど、私には兄弟がいないから言い合いのできる二人が羨ましいなぁ。
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直也)千晃ちゃん。
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千晃)はい?
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兄弟の会話を羨ましく見てた私に気づいた直也さんは、間に入っていた隆弘さんをまた押しのけて手を差し出してきた。
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「握手」と言われて慌てて私も手を差し出すと
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隆弘)握手なんてしなくていい。
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って隆弘さんが怒ったように言ってくる。
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それを無視した直也さんは、私の差し出した手をぐいっと引っ張ると
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直也)これからよろしくね。チュッ。
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千晃)!?!?!?
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隆弘)おいっ!!!
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引っ張られた勢いで近づいた私の頬に、直也さんがキスをした。
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その瞬間ものすごい勢いで近づいてきた隆弘さんが直也さんから私をベリッとはがして、キスをされた頬を袖でゴシゴシこすってくる。
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隆弘)直也ぁ!!お前千晃に何してんだ!!
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直也)挨拶だよ挨拶。
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千晃)痛っ。
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隆弘)やめろ!千晃が汚れる!
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直也)酷いなー。ほっぺがあまりにも可愛いからチュッてしただけじゃん。
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隆弘)クソッ!だから会わせなくなかったんだ!
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千晃)た、隆弘さんほっぺた痛いですっ。
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隆弘)あーもう!置いてくのほんと嫌なんだけど!ねぇ千晃?やっぱり考え直さない?今ならまだ間に合うよ。一緒に帰ろ?
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千晃)痛い痛い!
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袖で頬をゴシゴシこする隆弘さんの手に力が入ってめちゃくちゃ痛い上に、隆弘さんの今までに聞いたこともない口調にちょっとだけビビる。
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隆弘さん、クソとか言うんだ。
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なんか新鮮。
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隆弘)千晃一緒に帰ろー!
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千晃)痛いですってばー!!
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ここに残るんだったら直也さんには要注意だけど
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私、絶対帰りませんからっ!
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#aaaストーリー
#aaastory
#Uの妄想

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HERO 2nd seasonー04
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隆弘)絶対だめ。千晃は連れて帰るから。
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母)でも千晃ちゃんがこんなに不安になってるのよ?自信をつけさせるためにも花嫁修業は必要でしょう?
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隆弘)不安にさせるくらいなら集会には出ないよ。そもそも最初から出るつもりないし。
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父)でもなぁ、出てもらわないと分家からうるさく言われて困るのは父さんなんだぞ?
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隆弘)俺だって困る。一人で東京に戻りたくないし、千晃のいない家に帰りたくないし、仕事だって手につかない。
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母)一週間くらい会えなくたって大丈夫よ。
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隆弘)大丈夫じゃない。むしろ会えなくて死ぬ。
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お母さんから提案された花嫁修業。
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私はそれをする事で財閥の嫁としての自信がつくのならと受けようと思っていたのに、隆弘さんは頑固として拒否の姿勢。
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私をここに残して自分だけ帰るのが不満らしい。
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私だって隆弘さんと離れるのはちょっとだけ不安。
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でもせっかくお母さんが誘ってくれたんだし、私も西島の名を名乗るんだから。
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千晃)隆弘さん。私、大丈夫ですよ。
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隆弘)大丈夫じゃないよ。母さんの花嫁修業なんて千晃には辛いに決まってる。あの人すっごいスパルタなんだから。
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母)まぁ!そんなことないわよ。
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隆弘)そんなことある。ガキの頃の俺たちに英才教育だとか言って、寝る暇もないくらい家庭教師のスケジュール組んだくせに。
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母)そのおかげで今、会社を経営できてるじゃないの。
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隆弘)でもそれは千晃に関係ないだろ。だから千晃、無理して母さんの言う事聞かなくていいんだよ?
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千晃)無理なんてしてません。私がやりたいんです。
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隆弘)千晃、どうして...
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心底困ったような顔で私を見てくる隆弘さん。
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いつのまにか肩をぎゅっと掴まれて私を東京に連れて帰ろうと説得の態勢。
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私を心配してくれるのはすごく嬉しい。
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正直お母さんがスパルタなんて聞いて不安が増してしまったし。でもね。
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千晃)隆弘さんが自慢できるような奥さんになりたいんです。胸を張って、自信を持ってみんなにもそう言いたいんです。その為にはやらなきゃいけない事だって思うんです。
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帰らないと強い意志を見せてみる。
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これで伝わればいいんだけど。
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隆弘)千晃はすでに俺の自慢の婚約者だし、胸張って自信を持っていいんだよ?何がそんなに不安なの?それに一週間も千晃と離れるなんて、ほんと無理なんだけど...
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千晃).........
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うん。伝わらなかったんだね。
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私の肩を掴む手にさらに力を込めてきて、「ほんと離れるとか無理」って拗ねたように言う隆弘さんがどう見ても年上になんて見えなくて。
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こういう時、この人はいつも甘える雰囲気を出して私の判断を鈍らせる。
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私が隆弘さんのお願いに弱いのを、隆弘さんが一番知ってるから。
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でも今日は。
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今日だけは反撃するんだから。
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千晃)でも隆弘さん。明後日から台湾に4日間の出張ですよね?
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隆弘)......え?
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昨日、たまたまうちに寄ってくれた実彩子さんから教えてもらったばかりの隆弘さんのスケジュールを間違えるはずない。
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隆弘さんは明後日から4日間、台湾に出張する。
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目の前でポカーンとしてる隆弘さんは忘れてたみたいだけど。
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隆弘)もしもし実彩子?明後日の台湾出張のことなんだけど...
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隆弘)延期とかって......無理?だよね?分かってる分かってる。
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隆弘)言ってみただけだって!怒んなってば!
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台湾出張を思い出した隆弘さんはすぐさま実彩子さんに電話をした。
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「延期すればなんとか」って言いながら電話を掛けた隆弘さんだけど
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隆弘)延期、無理だった...
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電話先で実彩子さんに怒られたみたいで、さすがに延期は無理だったみたい。
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母)なら東京に帰っても千晃ちゃんとは一緒にいられないんだから、千晃ちゃんはこのままうちに置いていきなさい。私が責任を持って預かるから。
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隆弘)千晃ぃ......ほんとにいいの?大丈夫なの?
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千晃)はい!頑張ります!
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父)若い子と一緒にいるだけで一気にうちが華やぐねぇ。
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花嫁修業のスケジュールをワクワクしながら考えるお母さんと出張に行きたくなくてグズグズしだす隆弘さん、のほほんと達観するお父さんに囲まれて、私のボルテージもぐんぐん上がっていった。
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HERO 2nd seasonー03
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わだかまりがなくなってきた頃、お母さん手作りのクッキーを頂きながらこれまでの事を話していると、お母さんが「そうだ」と手を叩いた。
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母)あなた達結婚式はどうするの?
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隆弘)するけど時期はまだ決めてない。
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父)千晃ちゃんは和装よりもドレスが似合いそうだねぇ。
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千晃)ふふ。ありがとうございます。
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母)じゃああなた達、結婚式の前に今度集会があるからそれに出なさい。
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隆弘)え!?
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千晃)集会、ですか?
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親戚の集まりかな?と簡単に考えていると、隆弘さんがすごく嫌そうな顔をするのが見えた。
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隆弘)嫌だよ。出なくなってもう随分経つのに。
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母)何言ってるの。出ていなくてもあなたはこの西島財閥本家の次男なんだから。分家に結婚の挨拶をするのは当たり前でしょう?
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千晃).........
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西島財閥?
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本家?
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なんか今凄いの聞いた気がするけど。
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父)挨拶しとけば後から何か言われずに済むんだから顔だけでも出せばいいじゃないか。
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隆弘)嫌だよ。言いたい奴らには言わせとけばいい。俺あの人達嫌いだし。
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母)何言ってるの。本家が分家から下に見られるなんて恥ずかしい事よ。
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隆弘)だって千晃も連れてかなきゃいけないじゃん。絶対下世話な事しか言わないよ。ほんと嫌味ったらしいじじいばっかりなんだから。
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父)だから先に集会で挨拶しとくんだよ。牽制しとけばとやかく言われることはないんだから。
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母)なんにせよ、集会には出てもらいますから。千晃ちゃんもそのつもりでね?
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千晃)はい...あ、あの。
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隆弘)千晃も嫌だよね?知らないじじいの相手するの。
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千晃)そうじゃなくて、財閥とか集会とかってなんですか?
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ごく当たり前の質問をしたと思うけど、それを聞くと
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隆弘)あれ。言ってなかったっけ?
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母)隆弘から何も聞いてないの?
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父)お前ほんといい加減だよなぁ。
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と、3人が3人とも困った顔をした。
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なんだろう。なんか嫌な予感しかしないけど。
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隆弘)財閥っていうのは昔の金持ちの事で...
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母)由緒ある企業の創業者で、この西島家はその本家にあたるの。
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父)簡単に言うと隆弘は大きな企業の御曹司なんだよ。
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母)そして毎年年度末には西島の本家と分家が出席する企業の決起集会を行うのが習わしなの。
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父)決起集会って言っても親戚たちが集まって飲んだり食べたりするだけだから、あまりかしこまった席ではないんだよ。だから千晃ちゃん、そんなに固まらなくても大丈夫。
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隆弘)千晃。財閥なんて今はほとんど関係ないし、階級なんて大昔の話だから。集会だって出たくないなら出なくていいよ。よし、そうしよう。電報だけ送ってトンズラだ。
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千晃).........
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3人とも何でもない事のように軽く言って、隆弘さんなんて冗談飛ばしてるけど...
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え。
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財閥の御曹司?隆弘さんが?
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え。
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私ってそんな凄い人のところに嫁ごうとしてるの?
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え。え。え。
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母)千晃ちゃん、大丈夫?
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千晃)あ、はい、いえ...
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心配してくれるお母さんにどう返事をしていいかも分からずに固まり続ける私。
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だって頭が働かないんだからしょうがない。
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もしかしたら私、ものすごい敷居の高いところに来てしまったのかもしれない...
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母)ごめんね千晃ちゃん。隆弘が何の説明もしてなかったみたいで。
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千晃)いえ...あの、お母さん。
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母)まぁ!お母さんだなんて!何?どうしたの?
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感情があまり表に出ないタイプの人だと思っていたのに、お母さんと呼んだだけで喜んでくれる目の前の美女にどうしようもなく嬉しくなってしまう。
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綺麗で優しくて完璧な財閥の嫁。
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こんな完璧な人に、私もなれるのかな。
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千晃)あの、私...大丈夫なんでしょうか。
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母)どういうこと?
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千晃)その集会で、私ちゃんと挨拶できるんでしょうか......教養はそれなりにしかありませんし、マナーなんてもっとありません。なのにいきなり分家の方々に挨拶なんて......すごく、不安です。
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隆弘さんが嫌がるくらい、きっと分家の方々は容赦がないんだろう。
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しかも隆弘さんより19歳も年下の子どもみたいな私が嫁なんて...
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もし何か失敗してしまったら隆弘さん達に迷惑をかけてしまうかもしれない。
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そんなの嫌。
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不安でいっぱいになっていると、知らないうちに力が入っていた私の手をお母さんの手が包み込んだ。
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母)そうよね。不安よね。
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千晃)はい...
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母)だったらね、千晃ちゃん。ここで花嫁修業をしましょう。
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千晃)......はい?
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