
少し前の仕事ですが、新聞書評書きましたのでご紹介を。『広告的知のアルケオロジー』(田端書店)という本について。電通をへて富士大学教授などを務められた岡本慶一氏の遺著。
日本の広告の黎明期(電通・博報堂の創業者たちの時代)から筆をおこし、彼らと経済人やジャーナリストたちとの人間くさい交流エピソードを紹介、その後江戸時代のPR成功事例を分析したのち、仏思想家ボードリヤールの消費社会論(これはいまだ説得力がある)、そして21世紀広告の考察へと至る、まさに「渾身」を感じさせる一冊だった。
これを受けて私は、長い歴史の中で、経済の起爆装置としてのミッションを持ちつつ、同時に"文化の揺りかご”としても機能し続けた広告産業が、なぜその本来的なポテンシャル(知と痴を自在に行き来するパワー)を失ったのか?という視点からレビューしています。短い記事ではあるのですが。
私は著者の岡本氏とは残念ながらお話したことがなかったのですが、現場的テクニックの話ではなく、少し引いた場所、つまり文化的な位置から「広告」や「クリエイティブ」を考えてみたい方にはぜひお読みいただきたい一冊でした。 (中国新聞、神奈川新聞、東奥日報、岩手日報、徳島新聞、京都新聞、福井新聞、新潟日報、熊本日日新聞、南日本新聞、北日本新聞、高知新聞他に7〜8月掲載)

いま発売中。「コマーシャルフォト」誌のカンヌ記事やりました(9月号)。今年は6ページの特集。
昨年の資生堂「High shool girl?」に続き、今年はSIE「Gravity Cat」でゴールド受賞のディレクター柳沢翔氏(一度お話聞きたかった)、フィルム部門の審査員を務めた田中耕一郎氏(映像を語る言葉が素晴らしい)へのインタビューなど、CMに特化して編集してます(コマフォトですから)。 日本の受賞者(フィルム部門)の皆様にもコメントいただきました。ご協力いただきありがとうございます。
紙媒体は文字数の制限など独特の難しさがあるのですが、削ぎ落とせるだけ削いで詰めていくところはやっぱり面白い。ぜひお読みいただけましたら。

夏の恒例と言えばmy Japanの映像サマーキャンプ(CSC)。U29の若者たち(なかにはプロも)が2〜3人1チームで、毎年3つの地域をCMする動画制作に挑戦するイベントです。
で、今年も行ってきました。まずは知られざるクリエイティブの聖地・川内村へ(福島県)。写真は講評の風景。地元の方々にも来ていただいての上映会は体育館!
というのがなんともいい感じ。ちびっこたちも来てくれた。ゲスト講師はAD重冨健一郎氏。
川内村はカエルの詩人・草野心平の"別荘"がある「コトバのふるさと」(天山文庫)。イワナも美味しく。
今週末から次なる土地、南相馬へ。全地域の映像が出そろったらまたお知らせしますので、ご覧いただけるとうれしく。
CSC公式サイト→ http://my-jpn.com/csc/